私が作る人形は、『ぬいぐるみ』として分類されますね。
布で出来てて中に綿が詰まってればそれはぬいぐるみです。
…では、東方世界で言われる『人形』とはどう言うものなのか考えてみる事にしましょう。東方で人形といえば、七色の人形遣いアリス。
……なのですが。アリスよりも前にZUN氏の作品で人形に触れたものがありますね。
稀翁玉、そして蓬莱人形より、『エニグマティクドール』です。お手元の蓬莱人形を(初版以外でお持ちの方は)お手に取って頂ければ判りますが、『人形の蒼い目』のリアルさが強調されています。
……いや、まぁ、文字通りリアルなわけですが。
で、ですがエニグマティクドール、と言うタイトル…これはフランス語で『enigmatique』、神秘的な、謎めいた…と言った意味があるそうです。
そしてドール…これは、dollで人形の事でしょう。『d'or』として黄金の、と言う意味もありますが…恐らく違うものと考えます。…何故doll…つまり英語でこれを人形と表現したのでしょうか。
私はフランス語を学んでない上にフランスに過ごしているわけでもありませんので、偉い方に補完して頂きたいとは思うのですが…
勝手な推測で論を展開すると、こう言うものに行き当たります。一般的なフランス人形と言って思い当たる、肌の透明な質感が特徴的な人形。これをビスクドール(Bisque Doll)と言います。
Bisqueは二度焼きと言う意味で、この人形はその言葉どおり、二度焼きの磁器で顔や手足が形作られています。
…前述の文章にある『目の蒼さ』もやはりこの人形の特徴ですね。
これもまたこう言う名称で知られてはいますが、人形と言ってもBisque Poupéeとは表現されないようです。……以上細々と書いてきましたが、要するに。
アリスの用いる『仏蘭西人形』や蓬莱人形での『エニグマティクドール』は、恐らくこのビスクドールなのであろうと言えます。
考えてみれば確かな事で、プラスチックなどと言う技術がない以上人形の素体はと言えば…
木で作るか、紙で作るか、布(要するにぬいぐるみ)か土(陶器・磁器)か…と言った具合に制限されるわけですね。
和蘭人形や露西亜人形(つまりマトリョーシカなど)は木で出来た人形の代表。
京人形には初期の雛人形など、紙でできたものもあります。一般的には糊塗で固めて作られると思いましたが…さて、こう考えると妖々夢でのアリスのスペルカードでの人形達は、どう言った人形たちなのでしょうか。
ひょっとすると、いわくつきの人形を集めているだけ…なのかも知れません。
少なくとも、自分で全ての人形を作っているとは考えにくいですね…仮にあのスペルカードで用いる人形が全て別のものだとすれば。
例えばビスクドールを自分で作っているとすれば、アリスの自宅には焼成窯がある事になります。
…勿論、魔法使いなのである程度どうとでもなりそうな気はしますけれども。勿論、アリスが人形を作っている可能性は十二分にあり得ると思います。
自分でやってて、人形作りと言うのもかなり楽しいですから…アリスがそう言ったものに興味を持っていたとして不思議はありません。
が、スペルカードでの人形達と言うものはまた、それとは別の人形たちなのかな、と考えることもできます。逆にアリスが作ったのではない、いわくつきの人形…上で書いたような色々な種類の…だと考えると、
余計に恐怖感やら何やらと言ったものが襲ってくるかのように感じられます。
そしてそれだけに、それを無邪気に(?)操るアリスの危うさのようなものも私には感じられたりしますが、これは如何なものでしょうか…
『人形裁判 〜 人の形弄びし少女』
裁判によって裁かれるは、人の形弄んだ罪、と言うことなのか、はたまた…