…私の中には、知らない私が居る。
時々語りかけて来るそれは、私じゃない「私」。
「そのリボン、おしゃれよねー。ちょっと私にもつけさせてよ〜。」
知った仲の氷精にそう言われる。けど、外してつけてあげたくても、それはできない。
私のリボンは、力を封印するためのお札。
リボンが外れたら、どうなってしまうのか私にもわからない。
もちろん、妖怪として力は欲しい。
けれど…このリボンが外れたら、私が私じゃなくなってしまう様な気がする。
…月と宵闇の妖怪。
そう呼ばれる私にとって、月は特に近しい存在。
他の妖怪もそうだが、月の光は妖怪にその力を目覚めさせるエネルギーの源。
満月の時、私にもそんな妖怪としての血が流れるのを感じる。
ただ。
私の中の「私」が、何かを求め始める。
血。肉。人の悲鳴。
私の本能と呼ぶべき部分が、叫び始める。
「…夜の境内裏はロマンチックねー」
「そうよねー、お化けも出るし、たまんないわ。」
…博麗の巫女。極上の餌。その血一滴は妖怪に無限の力を与えると言う、奇蹟の存在。
「…で、目の前のが食べれる人類?」
…私じゃない私が、目の前の相手を捕らえようと妖力を展開する。
必死にそれを“私”が抑える。
妖力はスペルカードを媒体に形を成し、巫女へと進んでいく…私の意志とは無関係に。
そうじゃ、ない。
私は…こんな事を望まない。月に惑わされ踊らされる存在になり果てたくない。
「私」は…消えて…!
必死の思いで、“私”はスペルカードを発動する。
それは全てを包み、隠し、月と…“私”と「私」を壁てる、闇の境界。…闇符「ディマーケイション」
私は、逃げた。暗く、優しい、闇の彼方へ。薄れ行く意識と共に。
それでも私は…負けなかった“私”は、自分の行動を、誇りに想っていた…。
…と言うことで、東方オフ会で最初に書いた文章2発目です。
すし〜さんの描かれたルーミアを見つつ、イメージを膨らませて描いたものです。
すし〜さんの描かれたルーミアは、『闇』をイメージして描かれたものだそうですが…
その『闇』がルーミアの周りで『閉じている』事からこの様にイメージしました。
# 絵は恐らく近々すし〜さんがアップして下さいますよね…とか言ってみたり。
読めばわかりますが、このルーミアのイメージは夢想伝までに通じる私のルーミアイメージとは多少異なります。
オフ会と言う場所で、それぞれ他の方の抱く幻想郷観とぶつかり合った結果と言えるかもしれません。
ある意味で視点が広がったと言いますか…やはり面白いところですね。
ところで、一点突っ込まれる前に。
夢想伝の設定解説.txtにも影響を受けたと書きましたが、博麗の巫女の血は云々のくだりはブラパ・ゼータシリーズの影響があります
また、今回は結構意識して書いています。……霊夢は聖女ファラ・ハンみたいに純粋とは言えませんが。
それにしてもPCで書いてない文章は漢字の間違いが多いです。
2004/01/01 オフレポSS第二弾…打つだけってのも面倒ですねぇ……